翔びたくて

はじめに | 1話 | 2話 | 3話 | 4話 | 5話 | 6話 | 7話

8話 | 9話 | 10話 | 11話 | 12話 | 13話 | 14話 | 15話

16話 | 17話 | 18話 | 

皆様に、モンテッソーリ教育の理解を深めていただけますよう、
楽しく読んで頂ける物語の形式をとってあります。
少しでも幼児教育の理解を深める手助けとなれば幸いです。

どうかご一読くださいませ。

はじめに

モンテッソーリ教育とは

モンテッソーリ教育とは、イタリアの医学博士であるマリア・モンテッソーリにより確立された教育方法です。

人間の子ども達は大変非力な状態で生まれてきます。おなかがすいてどうしようもないその時、たとえミルクが一杯に入った哺乳瓶を枕元におかれていたとしても、それを掴んで口元に持っていくことさえできないほどにです。大人に依存しなければ命を永らえさせることすらできません。
そんな子ども達の第一の優先事項は一日も早い大人からの自立です。
おなかがすいたら、食べ物を食べられるように、寒ければ服を自分で着られるように、子ども達は自分で自分の命を守ることができるようになりたいのです。
子ども達はある時期、どうしても自分で靴をはかないと気がすまなくなります。時間がかかるからとお母さんが代わりに履かせようものなら、火がついたように泣いて怒ったりします。これは、「靴を一人で履けるようになる。」という練習を奪われたからなのです。
私達が何かを体得する時、初めはうまくできませんが、それでも自分でやってみるしかありません。
例えば、初めてテニスの練習をした時、なかなか珠がラケットに当たらなかったとします。そこで上手なお友達が代わりにショットを打ってくれたとしても、自分でやってみなければ決してできるようにはなりません。それと同じように子ども達も靴を履けるようになるためには、たとえ初めはできなくても自分でやってみるしかないのです。
子ども達はある時期が来ると、ボタンを自分でとめることや、自分で靴を履こうとすることなど、自分の体を自分の意志の通りにコントロールできるようになるための練習を熱心に繰り返します。子ども達にとってこれらの練習は私達大人が考えている以上に大切なものです。何故ならこれらの練習は自分で自分の命を守るため、つまりは生きていくために必要な活動だからなのです。

こうした生まれながらに持っている自己を高めたいと願う欲求、つまりは子ども達の最初の学習欲求にいかに答え満足させるかは、今後の子ども達の生き方つまりは人格形成に深く影響します。

子どもの自立したいという願いから生まれ、熱望する活動は子ども達を深く集中させることができます。
子ども達はそれらの活動に取り組むことにより集中するという習慣が身に付きます。
そしてできないことができるようになった喜びを味わい、困難を克服する喜びを知ります。その喜び故に、更にできないこと、わからないことに取り組みたいとチャレンジ精神が旺盛になり好奇心が強くなります。そして新たな活動に取り組み、集中し満足するというこの良いサイクルを繰り返すようになるのです。
深く集中して活動し、そしてやり終えた子ども達は深い満足感を味わいます。この満足感から子ども達は安定し、平和を好む落ち着いた人格の基礎を作ることができます。獲得した自分の能力を人のために役立てたいと考え、率先してルールを守り、困っている人を助けたいと願うようになります。


やがて子ども達はある年齢に達すると自然に、その好奇心が数や文字などの知的活動へと移行していきます。
モンテッソーリ教育では、子ども達が生まれ持つ自立したい、自分を高めたいという力を尊重し、この初期の段階での学習欲求を満たすことにより、より良く社会と関わり、自分の命も他人の命も尊重でき、自分を高め、人と関わり、生きていくことが楽しくてたまらないと感じるような、そんな大人へと成長することを助けていきます。